AIエージェント

医療特化型AIエージェント導入Vol.3:なぜ既存システム連携なしでは機能しないのか?とその解決策

近年、生成AIやAIエージェントが医療現場に導入され始めています。チャットボット形式で医師やスタッフの指示に応じ、診療や事務作業をサポートしてくれる存在として期待されています。しかし実際に導入を検討する経営層やIT部門の方々から最も多く寄せられる懸念の一つが、「既存システムとの連携が可能なのか」という点です。

はじめに:AIエージェントは単独では機能しない

日本の医療機関では、電子カルテ、レセコン、検査、画像診断、薬局システムなど多様な部門システムが稼働しています。これらのシステムが統一されているケースは少なく、ベンダーごとにAPI仕様やファイル連携の方式も異なります。そのため、もしAIエージェントがシステム連携できなければ、医療現場に根付くことは難しく、むしろ新たな業務負担を生み出しかねません。

結論から申し上げると、AIエージェントは既存システムと連携してこそ真価を発揮するものであり、単独では業務改善の効果を出せないのです。以下では、具体的なユースケースと解決策を例にご紹介します。

具体的なシナリオ:退院サマリー作成を支援するAIエージェント

少し想像してみてください。
もし「退院サマリー作成を支援するAIエージェント」を開発したとしましょう。

医師が診察画面やチャットボットに向かって「退院サマリーを作って」と指示します。するとAIエージェントが、電子カルテ、レセコン、検査システム、画像診断システムなどの部門システムから必要なデータを自動で収集し、所定のフォーマットに沿って退院サマリーを生成してくれる ― そんな未来像です。

model-context-protocol-ai-agent

しかし、ここで大きな課題が現れます。
現実には、日本の医療機関ではシステム間の統合が不十分で、API仕様もバラバラです。AIエージェントが個別の部門システムと直接連携するのは非常に困難なのです。

そこで解決のカギとなるのが、MCP(Model Context Protocol)という仕組みをご紹介します。

MCPとは、生成AIモデルが外部のツールやデータベース、サービスと連携するための標準的なプロトコルを指します。MCPを用いることで、AIエージェントは複数のシステムからデータを効率的かつ安全に取得し、統合することが可能になります。

さらに重要な点は、各システムベンダーが新たな開発を行う必要がないということです。既存のインターフェースや連携方法をもとに、MCPを設計・開発することで、スムーズな接続を実現できます。

アーキテクチャ例:既存システムと連携するAIエージェントの仕組み

以下は、弊社が作った既存システムと連携可能なAIエージェントのアーキテクチャ例です(図参照)。

example-architecture-ai-agent

  1. 医師がチャットボットに「退院サマリーを作成してほしい」とリクエストを送信。
  2. AIエージェントが社内の業務プロセスナレッジ(BPナレッジ)を参照し、作成手順を確認。
  3. 必要なデータ取得のため、MCPを介して電子カルテや検査・画像診断システムへアクセス。
  4. 取得したデータをFHIR形式などに変換・標準化。
  5. AIエージェントがデータを整理・分析し、退院サマリーレポートを生成。
  6. 完成したサマリーを電子カルテへ送信。

この一連の流れにより、従来は医師や事務スタッフが時間をかけて行っていた作業が、AIエージェントによって効率的に、しかも正確に処理できるようになります。医療現場におけるAI活用は、すでにこのレベルまで実現可能になっているのです。

architecture-ai-agent-in-linking-existing-systems

MCPを活用するメリット

MCPを基盤にしたアプローチを採用することで、以下のような効果が期待できます。

  • 業務スピードの向上とヒューマンエラー削減
    複数システムからのデータ収集・標準化・統合を自動化し、わずか1回の操作で処理可能。
  • 標準化された最新データの活用
    各システムの最新データを統合的に利用でき、常に最新・正確な情報をベースに業務が進められます。
  • 拡張性と保守性の両立
    将来的に新しいシステムやワークフローを追加する場合も、柔軟に対応可能。長期的な運用コストを抑制できます。
  • セキュリティと規制対応
    MCPは設計段階からセキュリティ要件や国内法規制(3省2ガイドライン等)に対応可能であり、安心して導入できます。

まとめ:システム連携のハードルを超えるために

AIエージェントの導入において最大の課題の一つは、既存システムとの連携です。その解決策としてMCPを活用することで、複雑なシステム環境においてもAIエージェントがスムーズに動作し、医療現場の業務効率化を大きく前進させることができます。

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