医療 DX
旧電子カルテからクラウド型電子カルテシステムへ移植(200床以下の病院向け)
背景と課題
導入の背景
かつて多くの中小規模病院では、診療記録や処方情報などを紙ベースで運用しており、情報の検索や共有に時間がかかるほか、記入ミスや紛失リスクといった課題が存在していました。電子カルテの導入により、これらの課題を解決し、安全性と効率性の両立が可能になります。
厚生労働省の調査(2020年)によると、日本国内の病院における電子カルテ導入率は約57.2%に達しており、特に200床以下の中小病院においては、クラウド型電子カルテのニーズが高まっています。
クライアント企業の概要
本プロジェクトのクライアントは、医療・介護・健康・予防の各分野でICTソリューションを提供する国内大手企業です。地域医療連携や在宅医療の推進をミッションとし、切れ目のない医療・介護の実現を目指しています。
ソリューション
プロジェクトの背景と目的
クライアントは1990年代に開発したWeb型電子カルテを長年にわたり運用してきましたが、以下のような課題を抱えていました:
- ユーザーインターフェースが古く操作性が悪い
- Internet Explorerにしか対応しておらず、他のブラウザでは正常に動作しない
- セキュリティ対策が不十分(ローカルへのアクセス制限なしなど)
これらの課題を解決し、より多くの医療機関に展開できる製品とするため、UIの刷新、セキュリティ強化、マルチブラウザ対応(Chrome対応)などを目的とした全面リニューアルプロジェクトが立ち上がりました。
対象システムの特長
対象となった電子カルテは、以下のような多機能なシステムです:
- 患者プロファイル管理
- オーダリング機能(処方・検体検査・処置など)
- 看護支援機能(看護診断、計画、指示、アセスメントなど)
- 20以上の関連システムとの連携(調剤、服薬指導、検体検査、手術管理、再来受付、リハビリ、ナースコール、ORCA など)
プロジェクトの進め方と工夫
長年にわたって改修が重ねられてきた既存システムには、明確な設計書が存在せず、提供された資料は画面仕様書とユーザーマニュアルのみでした。Omi Japanのエンジニアは、現行システムを詳細に調査・分析し、業務フローの理解を深めた上で、設計・開発・テスト・UATまでを一貫して担当しました。
特にフロントエンドの改修が中心でしたが、一部バックエンドとの連携も必要でした。ソースコードは古いJava Servlet+JSPで構成されており、初期設計書がないうえ、コメントアウトされた古いコードも多数残されている状態でした。
Omi Japanのエンジニアは、クライアントと密に連携しながらレガシー技術を習得・解析し、段階的な改修を実施。さらに、オンサイトエンジニアを配置することで院内業務への理解を深め、仕様確認やQ&A対応を迅速に行いました。ベトナム側開発チームとの連携も円滑に行い、高品質なシステムを提供することができました。
成果
定期的なサーバー更新やソフトウェアアップデートの負担を軽減し、運用コストを抑えたクラウド型電子カルテが完成。200床以下の中小病院に導入され、直感的でわかりやすいUIが高く評価されました。医師のみならず、看護師・コメディカル・事務職員を含むすべてのスタッフがストレスなく利用できるシステムとして、現場からの支持を得ています。
今後の展望
その情報については、まだ完全に把握できておりません。
PJのサイズ
- 対応工程:要件調査、詳細設計、開発、テスト、受け入れ
- 使用技術:Java Core、Java Servlet
- 開発期間:3年半
- 工数規模:40人/月 × 3.5年
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