臨床試験 DX
臨床試験 - ePROシステム開発実績
背景と課題
導入の背景
従来の臨床試験における被験者の報告データは、紙媒体や手作業によって収集・管理されるケースが多く、以下のような課題が存在していました:
- 手作業による入力ミスや記録漏れのリスク
- データのリアルタイム更新が困難で、迅速な対応が遅れる可能性
- 患者の健康状態を適切に把握できず、重篤な事象への対応が遅延するリスク
- 紙資料の印刷・保管にかかるコストの増加
これらの課題を解決するために、電子デバイスを活用して、データを迅速・正確かつ利便性高く収集できるePROシステムの導入が決定されました。
クライアント企業の概要
本プロジェクトのクライアントは、日本国内に本社を置くCRO(医薬品開発業務受託機関)で、医薬品開発支援を主軸としながら、グローバル市場およびヘルステック領域への技術革新にも積極的に取り組まれております。
2018年にはビジネス構造の見直しを実施され、外部システムに依存しない内製製品開発体制の確立を目指す中で、戦略的なシステム開発パートナーとしてOmi Japanをご選定いただきました。
ソリューション
ソリューション概要
Omi Japanは、これまでクライアント様の中核業務を支えるEDC(Electronic Data Capture)システムの開発・運用を4年以上にわたって支援してまいりました。
その実績が評価され、今回のePROシステムは、臨床試験全体を包括的に支援するエコシステムの一環として新たに立ち上げられました。
クライアント様の社内にはシステムエンジニアが不在であるため、Omi Japanの専任コンサルタントが要件定義フェーズから参画し、業務ヒアリング、既存システムの調査、設計・開発・テスト・運用保守までを一気通貫でご支援いたしました。
主な機能一覧
- 患者自身によるデータ入力:症状、副作用、QOL(生活の質)、治療遵守状況などを患者自身が入力
- 多様な質問形式への対応:選択式、スケール式、記述式など、柔軟な設問設計が可能
- リマインダーと進捗管理:回答期限の通知、入力状況の可視化、不足データがある場合には研究者へ自動アラート
- 調査票の自動配信:治療前・治療中・治療後など、各フェーズに応じたアンケートを自動配信
- データ品質管理と監視機能:異常値や不正データの検出、データの整合性・一貫性の確保
- セキュリティおよびアクセス制御:個人情報・臨床データを厳格に保護、患者・医師・研究者などユーザー毎に適切なアクセス権を設定
- リアルタイムでの分析・報告:グラフ生成、カスタムレポート作成、データエクスポートなどの機能を提供
本システムは、ICH-GCP(国際的な臨床試験実施基準)に準拠し、日本国内における臨床試験業務の実務に即した仕様として設計・開発されました。
成果
本システムは、開発スケジュール通りにリリースされ、現在は国内外の複数の臨床試験プロジェクトにおいて本格的に運用が開始されています。
ePRO導入により、データ品質の向上、被験者の負担軽減、研究者の作業効率化を実現し、クライアント様の臨床開発プロセスのデジタルトランスフォーメーションを力強く後押しする結果となりました。
今後は、本システムを基盤にした他試験領域への水平展開、および国際対応強化など、更なる拡張も視野に入れたご支援を継続してまいります。
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プロジェクト体制・技術情報
- 構成:Webベース(REST API)
- フロントエンド:ReactJS 18.2.0
- バックエンド:Spring Boot 3.1.4、NodeJS 14(サーバーレス)
- アプリ:Flutter
- データベース:MySQL 8.0
- プラットフォーム:AWS(Amazon Web Services)
プロジェクト規模
- 開発期間:3ヶ月
- 人月:新規開発 21人月、保守運用 月あたり4人
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