検査ラボ DX
PCR検査結果参照システムの開発事例
背景と課題
導入の背景
従来、臨床検査のプロセスは、検査センターが医療機関(病院やクリニック)から検査依頼を受け、検体を受領後に検査を実施するという流れが一般的でした。検査結果は通常3~5日後に紙媒体で医療機関へ返却され、医療機関は控えを保管し、原本を患者様へ渡していました。しかし、この方法では紙媒体での結果保管に伴う物理的なスペースの確保、過去の検査結果の検索や複数回の結果比較における煩雑さといった課題がありました。
検査結果参照システムは、これらの課題を解決するために開発されました。結果の電子的な保管により、保管スペースの問題を解消し、検索や比較も容易になります。さらに、結果報告の迅速化にも繋がり、医療サービスの質の向上に貢献します。
クライアント企業の概要
当社クライアントは、臨床検査分野における日本のリーディングカンパニーの一つです。日々数十万件に及ぶ多様な検査を実施しており、特に遺伝子検査やがん関連検査など、専門性の高い分野においても豊富な実績とノウハウを有しています。
ソリューション
プロジェクトの背景と目的
2021年は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックが世界的に拡大する中、東京2020オリンピック競技大会が開催された年でした。大会開催に伴い、数千人規模の選手団や関係者が来日し、PCR検査の需要が爆発的に増加しました。同時に、検査結果を可能な限り短時間で通知することが強く求められました。
このような状況下で、医療機関からの検査依頼登録・管理、医療機関と検査センター双方が依頼状況を容易に確認できるシステムの開発が急務となりました。特に、結果判明までの時間を短縮するため、検査結果を医療機関および患者様へ迅速にメールで通知する機能が不可欠とされました。
対象システムの特長
Omi Japanはクライアントからの要請を受け、オリンピック開催に間に合わせるという非常にタイトなスケジュールの中で、安定稼働と継続性を担保したPCR検査結果参照システムの開発を担当いたしました。本システムは、主に以下の3つの利用者向けサイトで構成されています。
1. 医療機関向けサイト (Hospital Site)
- 検査依頼の作成・アップロード:容易に検査依頼を作成し、検査センターへ送信できます。
- 検査依頼管理:送信済みの検査依頼のステータスを追跡・管理できます。
- 結果Eメール通知:検査結果を医療機関および患者様宛のEメールで受信できます。
- 患者予約機能:患者様自身が検査の予約を登録できる機能も実装しました。
2. 検査センター向けサイト (Laboratory Site)
- 検査依頼管理:医療機関からの検査依頼を受信し、効率的に管理します。
- 検査センター情報更新:検査センターの情報や提供サービス内容を更新できます。
- 結果受信・通知送信:検査システム等から結果データを受信し、医療機関および患者様へEメール通知を送信します。
3. 管理者向けサイト (Administrator Site)
- システム情報管理:ユーザー情報やシステム全体の情報を管理します。
- Eメール送信履歴追跡:Eメール通知の送信状況を追跡・確認できます。
- 運用サポート:システム利用中に発生する可能性のある問題への対応や、ユーザーからの問い合わせに対応します。
成果
本システムの導入により、以下の成果を実現しました。
- 検査結果報告の迅速化:従来3~4日を要していた結果報告期間を、約1.5日へと大幅に短縮しました。
- 柔軟かつリアルタイムなシステム構築:医療機関と検査センターをオンラインで接続し、リアルタイムな情報管理・共有基盤を構築しました。これにより、場所を選ばない効率的な業務遂行が可能となりました。
- 利用者に応じたインターフェース提供:医療機関、検査センター、システム管理者の各ユーザーが必要とする機能に特化した3つのWebサイトを開発し、管理業務の効率化に貢献しました。
本プロジェクトは、国家的イベントであるオリンピック・パラリンピックの安全な開催を技術面から支援するという、社会的意義の大きな取り組みとなりました。
PJのサイズ
- 対応工程:詳細設計、開発、テスト、受け入れ支援
- 契約形態:プロジェクトベース
- 開発期間:2021年1月~
- 使用技術
- バックエンド:Spring Boot (Java)
- フロントエンド:Thymeleaf
- データベース:PostgreSQL
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