OmiGroup、医療データ基盤の新会社「Omi Health Tech」設立~医療データ ― 医療分野のデジタルトランスフォーメーションを実現する基盤~
2026年7月28日、Omi Japanが属するデジタル医療グループ OmiGroup は、医療データ基盤とデジタル技術の研究開発に特化した新会社 Omi Health Tech(ベトナム法人/Công ty Cổ phần Omi Health Tech)を設立した。病院や行政に分散している医療情報を、国際規格 HL7 FHIR にそろえて相互につなぐプラットフォームを開発する。OmiGroup はすでにベトナム保健省と協力し、全国の医療機関のデータを FHIR に変換して国のデータセンターへ集約する仕組みを構築してきた。新会社は、この医療データ基盤の研究開発をグループとして専門化するために設立された。
設立の概要
設立式典には、OmiGroup 取締役会長兼CEO チャン・クォック・ズン(Trần Quốc Dũng)、Omi Health Tech 社長 ファン・マイン・フン(Phan Mạnh Hùng)、グループ経営陣、メンバー各社の代表、パートナーが出席し、テープカットが行われた。ベトナム側の発表によれば、保健省 国家医療情報センター副所長 グエン・チュオン・ナム(Nguyễn Trường Nam)氏も出席し、医療分野のデジタル変革において、データと技術が医療の質・管理効率・制度の近代化に果たす役割の重要性に言及した。
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同社によれば、今回の設立は事業の拡大ではなく、グループのデジタルヘルス事業を完成させるための戦略的な一手である。日本・韓国・ベトナムで積み上げてきた医療IT の経験(グループ事業歴14年以上)を、ベトナムの医療のデジタル化に還流させることを狙いとしている。
Omi Health Tech は「技術は、いのちにより良く役立つときにはじめて価値を持つ」という理念のもと、スマート予防医療・スマート診療・スマート医療マネジメントの3分野に注力する。
AI の時代に、なぜ医療データをそろえる必要があるのか
AI は画像診断支援から病院経営、医学研究まで、医療の各所で成果を出し始めている。しかし専門家が口をそろえて指摘するのは、いま足りないのは技術ではなく、その手前にあるデータの土台だという点だ。
医療現場では毎日、診察・検査・画像・処方といった膨大な情報が生まれている。ところが、それらは施設ごと、システムごとにばらばらに保管され、書式もそろっていない。結果として、
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患者は病院を変わるたびに、同じことを何度も申告する
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同じ検査が別の病院でもう一度行われる
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医師は目の前の患者の過去の経過を十分に把握できない
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病院は同じ情報を二度、三度と入力する
といったことが起き続けている。データがつながっていなければ、AI に読ませる材料そのものが整わない。
ベトナム政府は、国家デジタルトランスフォーメーション・プログラム、住民データと電子認証の整備を進める「Đề án 06(第06号プロジェクト)」、さらに2026年から2035年を対象とする国家目標プログラム(保健医療・人口・開発)の草案を通じて、デジタルデータを医療制度の土台と位置づける方針を打ち出している。
HealthTech の競争軸も、これに合わせて動いている。以前は業務ごとの個別ソフトを作ることが中心だった。いまは、それらを束ねるデータ基盤をどう持つかが問われている。OmiGroup が専門会社を分けた理由も、ここにある。
何を提供するのか
① Omi Health Platform - 医療情報をつなぐ基盤
病院がすでに使っているシステムの情報を、国際規格 HL7 FHIR の形に変換し、外部と共有できる状態にする。
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病院や行政のデータを、共通の形式にそろえる
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経営や政策判断に使えるダッシュボードとして見える化する
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病院と行政のあいだでデータを共有・活用できるようにする
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レセプト(診療報酬明細)データの点検・分析を支援する
ポイントは、電子カルテそのものを入れ替えないこと。既存のシステムを残したまま、その出力を標準規格に「翻訳」して外につなぐ。既存の資産が大きい医療機関ほど、現実的な選択肢になる。
② Omi LGSP - 行政向け医療データ連携基盤
電子政府の設計思想にもとづいた、医療データの統合・共有基盤。
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医療統計や報告のシステムを、まとめて相互接続する
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システム間でやりとりされるデータの流れを、一元的に管理・監視する
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権限を細かく分け、アクセスを制御して、医療情報の安全を確保する
[表記]LGSP は Local Government Service Platform の略で、ベトナムの電子政府用語。日本ではほぼ通じないため、本文では「Omi LGSP(行政向け医療データ連携基盤)」と表記する。
Omi Japan の位置づけ -「信頼できるAI統合 × 医療ドメイン知見」
Omi Japan は、医療専門性を軸に、AIを徹底活用し、お客様の医療情報システムへ「信頼できるAI統合」を実現するパートナーである。今回の Omi Health Tech 設立は、その土台となるデータ基盤をグループとして専門化する動きにあたる。
AI に実用的な価値を生ませるには、まず標準化され、つながり、信頼できるデータが必要になる。 データ基盤(Omi Health Tech)と、その上で動く信頼できるAI統合(Omi Japan)― グループはこの両輪で、医療現場の課題に向き合っていく。
ファン・マイン・フン|Omi Health Tech 社長
「AI の時代において、データは医療におけるあらゆるイノベーションの土台になります。AI に実用的な価値を生ませるには、まず標準化され、互いにつながり、十分に信頼できるデータの仕組みを、医療の管理・研究・提供のために整えなければなりません。Omi Health Tech が、データと知見と技術をつなぐ役割を果たし、ベトナムにスマートなヘルスケアの環境をつくる歩みを、医療業界とともに進めていくことを期待しています。」

チャン・クォック・ズン|OmiGroup 取締役会長兼CEO(ベトナム語発表からの要旨)
ベトナム側の発表によれば、同氏は、Omi Health Tech の設立はデータ基盤と医療技術プラットフォームへ経営資源を集中させるための戦略的な一歩であり、これは AI の時代におけるヘルスケア・エコシステムの土台と位置づけられる、と述べた。また、日本・韓国・ベトナムでの医療IT の研究開発・導入で蓄積してきた経験と知見を継承し、ベトナムの医療デジタル変革により多く貢献したい、との考えを示した。

会社概要
Omi Health Tech OmiGroup のグループ会社。医療データ基盤とデジタル技術の研究開発を手がける。行政機関、病院、クリニック、ヘルスケア企業に向けて、医療データの標準化、システム間の連携、国際規格に沿ったデータ共有の仕組みを提供する。事業領域は「スマート医療マネジメント」「スマート診療」「スマート予防医療」の3分野。 社長:ファン・マイン・フン/Web:https://www.omihealthtech.vn/
[用語]Đề án 06 とは 2022年1月6日、ベトナム首相決定第06/QĐ-TTg号によって承認された国家プロジェクト。正式名称は「国家デジタルトランスフォーメーションに資する住民データ・電子的本人確認・電子認証の応用開発プロジェクト(2022〜2025年、2030年までを見据えた展望)」で、通称が「Đề án 06」。全国民の住民データベースを国の中核データ資源として一元的に整備し、本人確認・電子認証の共通基盤として行政・医療・金融など各分野で使えるようにすることを目的とする。主管は公安省。医療分野では、ICチップを搭載した国民IDカードを健康保険診療の受付に用いる取り組みなどが進められてきた。日本のマイナンバー制度・マイナ保険証に近い位置づけと理解すると分かりやすい。